杉田敏の現代ビジネス英語2022年冬号42ページに diligent saving という表現がありました。これはVignette本文ではなく、本文にあったfree fromという表現の解説のための以下例文にふくまれていました。
Tony retired free from financial worries, thanks to his diligent saving.
日本語訳は「トニーはこつこつと貯金をしたおかげで、お金の心配をすることなく引退しました」です。diligent savingを「こつこつと貯金」と訳しています。
杉田敏先生の本なので「コツコツと貯金する」を英語で表すと diligent saving が適切な訳例の一つであることは間違いないでしょう。
それだけ覚えてもいいのですが、この記事ではそれにプラスαをしたいと思います。
diligentの意味
まずコツコツにあたるdiligentの意味を確認します。英英辞典(OALD)では以下の説明になっていました。
- showing care and effort in your work or duties
- 例示 a diligent student/worker
英和辞典も確認してみます。goo辞書(プログレッシブ英和中辞典)からです。
- (…に)絶えず努力する,勤勉な,熱心な
- 例示 be diligent in one’s work 仕事に精励する
- 〈仕事などが〉入念な,骨折った
- 例示 a diligent effort 苦心の作品
如何でしょう?コツコツというニュアンスはあるでしょうか?”コツコツ”というと継続性という時間軸をともないますが、英英辞典の方は時間的な説明は含まれていない気がします。
一方の英和辞典は「絶えず」という言葉があるため継続性を感じますよね。辞典の編纂は権威ある学者の方が担当しており、英語のニュアンスを汲み取って日本語をあてているはずです。英英辞典は言葉の定義づけですが、英和辞典は定義を汲み取った上で、訳として使用可能な日本語を例示しているのです。
そう考えれば今回「コツコツ貯金」にdiligent savingをあてたのも納得がいきます。
英辞郎でコツコツを調べる
英語の巨大データベースである英辞郎でも調べてみました。一つではなく複数ありました。
- save money little by little
- steadily save money
- scrimp and save
1は「少しづつ貯金をする」なので、ストレートな英訳と思います。ただlittle by littleを形容詞にして xxxxx savingの形にはしにくいです。
2も比較的ストレートですね。steadilyを形容詞にしてsteady savingとも言えそうです。
3はコツコツに適しているかどうかは別として、今回の収穫です。この表現は知りませんでした。scrimpは動詞でOALDでは以下のような定義でした。
- to spend very little money on the things that you need to live, especially so that you can save it to spend on something else
他に目的があって切り詰めてます、ってことですね。すぐ思い浮かぶのが、子供の教育費のため色々節約している家庭。英米でもそれは同じで、OALDの例文は以下のとおりでした。
- They scrimped and saved to give the children a good education.
英辞郎では scrimp and save で掲載されていましたが、OALDの例文も上記のとおり、scrimped and saved が太字でした。OALDではidiomとまでは行かないけれど、よくある表現は太字で表しています。OALDを使いこなすコツの一つです。
今回のscrimpも scrimp and save で覚えておけば、こなれた英語が身につくようになります。
50歳代後半の男性会社員です。一時実務翻訳の勉強をしいて、仕事を貰えるレベルにはなりましたが気が変わり方向転換。ブログのテーマも実務翻訳から英語学習全般に変更の方向です。詳しい自己紹介はこちら。
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