ケンブリッジ英検C1 Advanced合格

昨年(2020年)12月に受験したケンブリッジ英検C1 Advanced(CAE)に合格しました。2013年に一つ下のB2 First(FCE)に合格してから7年超、なかなか受験に踏み切らなかったのですが、10月に思い切って申し込み。無事一発合格できました。

 ケンブリッジ英検 C1 Advanced 合格証

CAEのレベル

CAE (C1 Advanced)のレベルですが、読んで字のごとくCEFRのC1相当の試験です。CEFRについては、British Cousilが以下のとおり説明しています。

「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」は、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準です。

British CouncilのHPより

英語のみならず、ヨーロッパ言語の運用能力の基準ですね。実際私の英語の先生はイタリア語の能力がC1だそうです。C1の能力はCEFRで以下のとおり定義されています。

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。

British CouncilのHPより

最近では日本でもCEFRを使ったレベル表示が普及してきました。NHKの英語講座は全てCEFRでのレベルが表示されています。各種英語試験も、英検1級はCAEに相当するとかTOEICで9XX点以上ならC1レベルだとか、CEFRを使って自分たちが提供する試験のレベルを表示しています(個人的にはマーケティングの一種だと思ってます)。

しかし、これらはあくまで主催団体の自己申告です。CEFRの能力基準を担保したものではありません。こと英語能力を判定する試験においては、ケンブリッジ英検だけが唯一のCEFR完全準拠です。

それを知っていたため、英検1級を持っててもTOEICで975点取っても、ケンブリッジ英検はFCEまでしか取得していなかったため、勝手にコンプレックスのようなものを抱いていたのでした。

ところでもうすこしC1のことを言うと、C1はCEFRの中で「熟達した言語使用者」のカテゴリーとなります。CEFRのレベルは下からA1, A2, B1, B2, C1, C2の6段階ありますが、A1, 2が「基礎段階の言語使用者」B1, 2が「自立した言語使用者」C1, 2が「熟達した言語使用者」となります。

お気づきのとおりC1の上にC2というレベルがあり、ケンブリッジ英検を除くと日本で受験可能な英語試験でC2レベルと謳う試験はありません。

参考までにC2の定義を載せておきます。

聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。

British CouncilのHPより

CAE試験の難易度

構造的難易度

CAEの試験は難しいです。と言えば身も蓋もないですが、「構造的に」なぜ難しいか説明します。

ケンブリッジ英検はちょっと変わった採点構造をしています。例えば、B2 First(FCE)の試験を受け、合格するとします。受け取った合格証を見ると気になる記載があります。 Grade C、、、、何でしょう?

ケンブリッジ英検では合格の中にもGradeが付与されるのです。Grade Cで合格、Grade Bで合格、Grade Aで合格です。そしてGrade Aの場合、CEFRのC1 Advancedと判定されます。要するにB2 Firstの試験ながら、C1まで判定できる難易度なのです。

CAE試験も同様です。高得点をとればGrade Aとなり、CEFR上の判定はC2となります。C2まで判定できる試験なので「構造的」に難しいのです。

英検1級はといえば、、、、たとえ満点をとってもC1ですね、、、、。

私の体感難易度

Reading &Use of English

Reading &Use of Englishは8 パートからなる90分の試験です。Part 1-4がUse of English。Use of Englishというだけあって、英語の使い方を問う問題が中心です。

Part 1は長文の穴埋め問題。ひとつひとつの( )に文意に沿った適切な単語を4つの選択肢の中から選びます。これが意味の似ている単語が並んでいるのです。collocationとして適切な組み合わせとか自動詞と他動詞の区別とかを理解していないと解けません。

参考までに例題をあげておきます。

In 1928, aged 31, she became the first pilot to fly an open-cockpit plane, solo, from South Africa to Egypt, ( 1 ) 9,000 miles in three months. It was a triumph. Lady Heath was ( 2 ) as the nation’s sweetheart and called ‘Lady Icarus’ by the press.

(1) A covering B stretching C crossing D ranging

(2) A exclaimed B declared C hailed D quoted

Cambridge English Advanced Practice Tests by Mark Harrisonより

Part2も長文の穴埋めですが、選択肢はなく自分で適切な単語を考えなければなりません。抜けている単語は多くの場合、前置詞、関係代名詞、冠詞などといったいわゆる機能語で、中学1年生でも知っているような単語です。これが文中から抜けていて、その穴を埋めようとするとことのほか苦戦します。答えを見ると「なんだ。そういわれてみればそうだ」となるのですが。

Part 2もCambridge英検の一部が垣間見れるように例をあげておきます。

Stuart Hayes had launched himself on a promising career _____ a swimmer when something odd happened _____ him at the local pool. Flogging up and down for the umpteenth time, he suddenly realized _____ bored he had become with the monotony.

Cambridge English Advanced Practice Tests by Mark Harrisonより

Part3はボキャブラリー。長文穴埋め形式ですが、( )に入る言葉のヒントが与えられてます。ヒントの単語を別の品詞に変更して答えるというもの。中にはちょっとヒネったものもあります。与えられた単語がstandで、正解がoutstandingだったり。

Part4はパラフレーズ。一つの完成した文をパラフレーズするのですが、与えられた一つの単語をそのままの形で必ず使うのが条件です。

Part5 から8は長文問題4題です。中でも私にとって最難関だったのはPart 6。あるIssueについてのA,B,C,D 4人の人の意見を読み問題に答えるというもの。問題というのは、〇〇〇についてほかの3人と意見が違うのはだれか?XXXについてBと同じ意見なのはだれか?というような問題。トピックとなっているIssueについて二つの論点があり、それに4人がコメントしているので、8つ程度の意見を把握しなければならず苦労します。うまくメモしたり文中に印をつけないと、誰がどういう意見かなんて、覚えていられるものではありません。

Part7も難しい。雑誌の記事風な長文なのですが、パラグラフが6か所も抜けています。そして適切なパラグラフを7つの選択肢から選びます。選択肢のうち1つはダミーということです。ロジックの通った文章にするには、問題文と選択肢両方を細かいところまで理解しないと正解になりません。

Reading &Use of Englishは時間配分が大事です。私は目安としてPart 1 – 4までを30分以内で終わらせ60分をReadingにあてる、つまりReadingは一つのPartあたり15分としていましたが、かなりきついです。十分な時間はありません。2度読みは出来ないと思っていた方がいいです。

全体として英検1級のような難しい単語は出てきませんが、英語のセンスがよくないと太刀打ちできないと思います。

Listening

ケンブリッジ英検のListeningは課題文を2回聞くことができます。というと随分楽そうですが、全然そんなことありません。

英検とかと大きく違うのはListening試験が独立していること。他のパートをとっととやって、先回りしてListeningの問題文をじっくり読むなんてことは出来ないのです。

ケンブリッジ英検では各Partが始まる前に問題文を読む時間は与えられますが、それでは全然足りず、課題を聞きながら問題も読むような状況になったりします。2回聞かせてもらって、ようやくなんとかなってるレベルです。

そもそもケンブリッジ英検CAEで聞く英語は英検1級・TOEICに比べて早いです。早いだけではありません。最後のPart4では5人の人物の体験・考えなどをそれぞれ1分程度聞いて問題に答えるのですが、BBCとは違うアクセントのイギリス英語を話す人が出てきます。普段アメリカ英語ばかり聞いている学習者は多分聞き取れないと思います。

Writing

90分で220~260文字程度の作文を2題。時間に追われることはそれほど無いと思いますが、紙ベースの試験では手書きなので慣れておく必要はあります。

Speaking

試験官2名(進行役と記録係)に対して受験者も2名。受験者それぞれが質問に答えたり、指示に従いお互いにディスカッションしたりといった形式。15分程度だったと思います。

WritingやSpeakingの説明はあっさりですが、受験生は自分のレベルで英語を発信するだけなので難易度云々にはなじみません。それに比べてReading & Use of English,、Listeningは、相手が投げたボールを受け止めなければならず、ボールが速ければ難易度は高まります。

最後に

ケンブリッジ英検を最初に受けたのは2013年。場所は中野サンプラザでした。その時はホントにマイナーで受験生は一桁でした。休み時間に他の受験生と話す機会があったのですが、北海道から受けに来ている人もいました。受験地が極端に少なかったのです。

今では大学受験の民間試験の一つに選ばれています。さぞや受験生も増えているだろうと思いましたが、行ってみたら12名程度でした。英検やTOEICに比ぶべくもありません。一つには高い受験料ですかね。C1 Advancedの場合消費税込みで22,550円ですから。

試験の質はいいのに残念ですね、、、。

コメント

  1. lava より:

    gaotsuさん、ケンブリッジ英検C1合格おめでとうございます!
    そして、翻訳家登録おめでとうございます!!
    いつもブログを読んでるだけでしたが、今回はコメント残さずにはいられなくて。
    去年の秋頃から、私も翻訳家の道を目指そうと検索しているうちにgaotsuさんのブログに辿り着きました。
    本当に勉強家なんですね、読書量もすごいし、社説の書き写しとか尊敬します。その上、ケンブリッジ英検までとっていたなんて!
    私も真似して同じ本読んだり、同じ問題集解いたりしました。ブログを読んでると焦ってしまうのです、自分の勉強量が足りないのではないかと。
    学校も実は私もMRIにしました。追っかけ過ぎてて怖いですかね?おこがましいですが、英語の力が近いかも?と思い、同じ様にやってみようと思いました。
    私も英検1級、TOEICは965点です。ケンブリッジ英検は33年前にFirst certificate取って以来受けていません。その上を取る勇気はまだありません。
    MRIは今年2月から始めて、まだStep1にすら行ってません。
    gaotsuさん、早いデビューですね!
    私も頑張ります。

    • gaotsu より:

      lava様

      コメントありがとうございました。
      読んでくださり、また参考にされている方がいるとわかり、励みになります。
      翻訳者登録の申請をして一週間ちょっとしか経っていませんが、まだ何も始まっていません。MRIからの資料では〇〇以上経過しても仕事の打診がなければ連絡をしてくれと書いてあったので、しばらくは待つつもりです。
      フルタイムの会社員のため限定稼働しかできないことを伝えているので、それはネックになると思っています。
      もし運よく受注できたらブログで報告したいと思います。
      引き続きよろしくお願い致します。

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