はじめに
このたびMRI語学教育センターの通信講座「ビジネス・経済 STEP1(実践)」を終えました。英日・日英をまとめた割引パックです。受講者の選択により別々とすることも可能でが、パックより多少割高になります。
MRI語学教育センターの講座は、大手翻訳学校の講座と比べると体系がわかりやすいです。下記の記事で説明していますので興味があればご覧ください。
仕事をしながら、週末や平日の夜に学習して5か月弱で終了しました。受講期限は2021年1月末だったのでまぁまぁ順調なペースだったと思います。
課題のレベルですが、初級である「基礎から学ぶ実務翻訳講座」に比べるとかなり上がります。実際に企業が発行したプレスリリースとか、株式市場についての報道記事とかになります。英日、日英それぞれ感じたことが違うのでわけて記載してみます。
英日翻訳
正直手こずりました。英日翻訳は成果物は日本語なので我々日本人にはハードルが低いように思えるかもしれませんが、そんなことないです。求められる完成度が高いです。
原文に書かれていることが訳せていない訳抜け、原文に書かれてないニュアンスまで訳してしまう創作、適切な訳語の選択、日本語としての自然さ、細かいレベルでチェックされます。
添削されたコメントを読んで「言われてみれば確かにそうだけど、自分の訳でもそんなに大きく意味がずれてないでしょ」と思ったこともしばしば。でも、そこは素直に耳を傾けないと。
それと英日で気をつけなければいけないのはスタイル。例えば算用数字と漢数字の使い分け。無頓着に翻訳したら指摘されました。実務翻訳には一般的なルールがあるのです。参考にするよう推薦されたのがJTF(日本翻訳連盟)日本語標準スタイルガイド。早速ダウンロードして目を通しました。それと新聞社が発行している記者ハンドブック。私は共同通信のものを購入しました。
日本語、なめたらいかんのです。
日英翻訳
日英です。こちらのOutputは英語。自分としてはこちらの方が与しやかったです。英日・日英とも課題ごとに点数がつくのですが、日英の方が高かった。
2回ほど課題を提出したあたりで気が付いたのですが、原文である日本語と訳出した英語の対比についての指摘がないのです。訳漏れ、訳しすぎ、原文のニュアンスと違う訳語の選択、そういったことへの言及がない。添削されることはもっぱら英文そのものとしての完成度です。
不思議に思いつつ、途中から日本語原文の厳密なかかり受けとかはあまり気にせず、原文の意味を全体として網羅していることを前提に、英語としての完成度をより意識するようにしました。
そういうスタンスで受講を続け、最後の添削課題を提出するくらいのタイミングで、井口耕二さんの以下のブログ記事をみつけました。
日英翻訳の場合、日本語に書かれている内容は一通り、英語に移っていることが前提です。ただ、文法的なミス、冠詞のミスなどもあるし、表現の幅も日本人翻訳者は狭くなるので、それを「補う」ために、英語ネイティブによるチェックやリライトをかけるわけです。
(中略)
日英翻訳のネイティブチェックでは訳文だけを読んで直すので、原文や訳文をいったりきたりして使える部分と使えない部分を判別するという作業がありません。
Buckeye the Translator 2010年7月4日 単価下落がもたらしたもの
まさに私が体感していたことなので合点がいきました。MRI語学教育センターの日英講座は「日本語に書かれている内容は一通り、英語に移っていることが前提」として添削をしているのです。きっと。
日本人であれば、原文の日本語の把握は100%できるはずです。一方原文が英語である英日はそうはいきません。その違いが英日翻訳、日英翻訳の実務慣行の違いとなり、MRIの添削スタンスにも反映されていると思った次第です。
ちなみに日英の添削課題では原文の日本語がわかりにくいものもあります。翻訳実務でもそういうことはあるんでしょうね。そういう場合はわかりやすい日本語に置き換えて英訳しました。
次のステップ
ビジネス・経済Step1(実践)が英日・日英ともに終わりました。次が最終段階で、ビジネス・経済Step2(プロ)となります。10回の添削課題を提出して平均点が一定以上であれば、メディア総合研究所の登録翻訳者になれる制度です。
Step1(実践)では日英の方が英日より成績がよかったので、Step2(プロ)では日英からやってみるつもりです。英日で成績があがらずデモチしてもいやなので、、、。
このブログの記事
50歳代後半の男性会社員です。一時実務翻訳の勉強をしいて、仕事を貰えるレベルにはなりましたが気が変わり方向転換。ブログのテーマも実務翻訳から英語学習全般に変更の方向です。詳しい自己紹介はこちら。
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