辞書環境の構築

まだまだ学習者の身ながら、将来を見据え、また実務翻訳者になるという自身のコミットメントを高めるため、ここ最近辞書環境の構築に取り組んでいます。6月に中古のDAYFILERを入手したのを皮切りに、ビジネス技術実用英語大辞典CD-ROM版を購入、7月26日には翻訳フォーラムのおうちでレッスンシリーズ「最初に買う辞書・使う辞書」に参加したりしました。今月8月に入っても、研究社オンライン・ディクショナリー(KOD)に申し込んだり、メルカリでLogoVista版ジーニアス英和大辞典をポチったりしました。そこで、自身の頭の整理を兼ねて、自分が考える辞書環境についてまとめようと思います。

実務翻訳者が揃える辞書

上述の「最初に買う辞書・使う辞書」やネット上の翻訳関連情報から、実務翻訳者が揃えるべき辞書は以下のように分類されます。

英和大辞典

  • ランダムハウス英和大辞典(小学館)
  • 新英和大辞典(研究者)
  • ジーニアス英和大辞典(大修館)
  • リーダーズ英和辞典(研究社)

本屋でこれらの辞書を見たことありますが、みな分厚くて相当重そうです。翻訳フォーラムのセミナーでも製本版はなるべく避けた方がいいとのアドバイスでした。ちなみに、リーダーズを除く3つが3大英和辞典と言われているそうです。なぜリーダーズが仲間に入れてもらえないかはわかりません。出版社がダブるからでしょうか?

これら大辞典の特徴として、収録語集25万以上と多い一方、語法説明や例文は英和中辞典より少ないそうです。従って「大は小を兼ねない」ことに留意が必要です。

英和中辞典

  • 新英和中辞典(研究社)
  • ルミナス英和辞典(研究社)
  • オーレックス英和辞典(旺文社)
  • ウィズダム英和辞典(三省堂)
  • ジーニアス英和辞典(大修館)
  • プログレッシブ英和辞典(小学館)

収録語数が100,000語を超えるもので、上級学習英和辞典と位置付けられています。学習英和辞典なので語法や例文が英和大辞典に比べて豊富で、プロの翻訳者も持つべしということのようです。

国語中辞典

  • 広辞苑(岩波書店)
  • 大辞泉(小学館)
  • 大辞林(三省堂)

広辞苑はつとに有名ですね。大辞泉も大辞林も同様に分厚い国語辞典です。でも、これらは「中」辞典だそうです。そんなこと辞書環境構築を始めて、初めて知りました。では大辞典は?というと小学館から出ている日本語大辞典が唯一大辞典を名乗れる代物で、全13巻というトンデモ辞典です。さすがに大辞典も持つべしとの論調はありません。

国語小辞典

  • 三省堂国語辞典(三省堂)
  • 新明解国語辞典(三省堂)
  • 岩波国語辞典(岩波書店)
  • 明鏡国語辞典(大修館)

国語辞典と言われて思い浮かべる辞典ですね。これらが小辞典にあたります。そういえば、翻訳フォーラムでは、国語辞典の中辞典と小辞典の具体的違いについて説明はなかったような気がします(ただし大は小を兼ねないことは当てはまるようです)。翻訳者の方々のブログでも、違いについての説明は見当たらなかったと思います。とにかく、中辞典と小辞典は両方必要のようです。

英英辞典

  • Oxford Advanced Learner’s Dictionary (OALD)
  • Longman Dictionary of Contemporary English (LDOCE)
  • Collins COBUILD Advanced Learner’s English Dictionary
  • Cambridge Advanced Learner’s Dictionary
  • Merrian-Webster’s Advanced Learner’s English Dictionary

上記英英辞典は全て学習者用です。学習者用は定義文のVocabularyを2000語とか3000語とかに限定しているので、一定水準の語彙力があれば定義文の中の単語がわからないというはありません。また、全てWebで無料で提供されているのが嬉しいです。

その他の辞典

「最初に買う辞書・使う辞書」では、ここまで紹介した英和の大辞典・中辞典、国語辞典の中辞典・小辞典、英英辞典は基本辞書と位置付けていました。さらに、語彙の活用や専門分野にかかる辞典を入手することになります。

英語を書くために

「最初に買う辞書・使う辞書」での基本辞書の中に和英が入っていなかったのは意外でした。日英翻訳をやるのであれば和英は必要でしょう。和英辞典も必須と位置付ける翻訳者さんも多数います。自分は日英翻訳にもチャレンジしたいと思っているので、具体的には以下の辞典が必要だと思っています。

  • 新和英大辞典(研究社)
  • 新英和活用大辞典(研究社)・・・タイトルに英和とありますが「英語を書くための38万例」と銘打ってます。

あと具体的な辞書名はあげませんが、ロングマンやオックスフォードのコロケーション辞典やシソーラスも必要です。

日本語を書くために

国語辞典以外にも日本語を書くための辞典はあります。例えば、LogoVistaでは以下の辞典がセット売りされています。

  • 日本語コロケーション辞典(研究社)
  • 日本語口語表現辞典(研究社)
  • 類義語使い分け辞典(研究社)
  • 日本語シソーラス 類語検索辞典(大修館)

英日翻訳の学習で日本語を書くことの難しさを痛感しています。母語だからこそ高い完成度が求められるため、こういった辞書も必須だと思います。

専門分野の辞書

専門分野で必要な辞書は人により全く言ってとよいほど違います。私は今MRI語学教育センターでビジネス・経済分野を専攻しています。学習内容は金融も多いので(ちょっと高いですが)以下の辞書を検討しています。

  • 経済・金融ビジネス英和大辞典(日外アソシエーツ)

うんのさんの辞書

実務翻訳者の海野夫妻が編集した辞書で、実務翻訳者必携と言われている辞書です。通称「うんのさんの辞書」というらしい。少々先走り、この辞書のCD-ROM版は購入済みです。

  • ビジネス技術実用英語大辞典(プロジェクトポトス)

辞書環境構築履歴

辞書の媒体は、書籍、電子辞書、CD-ROM、オンライン、スマホアプリ(iPad含む)があります。それぞれ一長一短があり、どう組み合わせていくかは人それぞれ。私の基本的なスタンスは、PC上での操作出来ることが大前提。書籍、電子辞書、スマホアプリは検討の対象外です。

DAYFILER購入

電子辞書は対象外と言いながら、電子辞書購入しました(笑)。DAYFILERは、セイコーインスツルメンツの電子辞書です。同社は2015年3月末に電子辞書から撤退しており、私が購入したのは中古品です。DAYFILERの大きな特徴として、PANORAMAという専用ソフトをPCにインストールすることで、PC上でDAYFILERのコンテンツを閲覧・操作できたことにあります(これが購入理由)。電子辞書のコンテンツの充実度を考えた場合、この機能は極めて魅力的です。そのため、翻訳者の方々に絶大な人気を博し、今だに多くの人が使っているようです。ただセイコーインスツルメンツが電子辞書マーケットから撤退してからPANORAMAの更新も止まっており、Windows10では動かないという情報もネット上には出回ってはいました。

DAYFILERの機能を知り「いいなぁ」と思っていたところへ、中古のDF-X8000が12,800円で販売されている発見しました。買ったところで、PANORAMAが機能せず、ただの中古スタンドアローン電子辞書になるリスク大です。でも、ポチってしまいました。スタンドアローンであっても、収録コンテンツを考えれば12,800円は安いものです。

そして結果は、、、やっぱりPCには繋がりませんでした、、、。でも以下のコンテンツが入ってるので良しとしようと自分を慰めています。ランダムハウスあるし。

  • 小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版
  • 研究社 新英和大辞典 第六版
  • 研究社 リーダーズ英和辞典 第2版
  • 研究社 リーダーズ・プラス
  • 大修館書店 ジーニアス英和大辞典 用例プラス
  • 研究社 新和英大辞典 電子増補版
  • 研究社 新編 英和活用大辞
  • 研究社 ルミナス英和辞典2版
  • 小学館 プログレッシブ和英中辞典 第3版
  • 小学館 大辞泉 第二版
  • 小学館 使い方の分かる類語例解辞典
  • その他いろいろ

海野さん購入

DAYFILERを購入したのち、購入したのがビジネス技術実用英語大辞典のCD-ROM。編集したのは実務翻訳者の海野ご夫妻で通称「うんのさんの辞書」と呼ばれています。プロジェクトポトスで税込み10,170円で購入できました。たしかアマゾンでは12,000円以上したと思います。購入するのであればプロジェクトポトスがオススメです。

CD-ROMのフォーマットはEPWING。一昔前はEPWINGフォーマットの辞書は結構あったそうですが最近は少なく、うんのさんの辞書は貴重な存在です。一方、LogoVistaのCD-ROMタイトルはコンスタントに出ています。ただ翻訳者の皆さんはLogoVistaよりEPWINGの方がお好きなようで、LogoVistaの辞書ブラウザは使い勝手が悪いという声は多いです。私は使ったことないので何とも言えませんが、先入観は刷り込まれそうです(笑)。

KOD申し込み

さて、7月26日に「最初に買う辞書・使う辞書」を受講したのち、自分なりの方針を立てて辞書環境を構築しようと決意しました。すでにスタンドアローンのDAYFILERでいちいちPCから手を離し単語を調べる面倒くささを体験していたので、英語を調べるのであれ日本語を調べるのであれ、PC上で完結することがMUSTとの方針を固めました。

PCでの操作を前提に辞書環境構築を考えた場合、柱の一つとなりえるのが有料オンライン辞書です。主な選択肢としてはジャパン・ナレッジ、研究社オンラインディクショナリー(KOD)です。ジャパン・ナレッジは教養溢れる知的なコンテンツが沢山利用できますが、基本料金(月会費1,500円、一括年払い15,000円)で使える英語辞典はランダムハウス英和大辞典、プログレッシブ英和・和英、コウビルド英英程度です。一方、KODは基本料金(6か月3,300円、1年6,50円)で新英和・和英大辞典、新英和・和英中辞典、ルミナス英和・和英辞典、リーダーズ+プラスが使えます。英語辞典に関しては、コスト・品揃えともKODの圧勝で、KODを申し込みました。ジャパンナレッジをどうするかは今後の検討課題です。

ジーニアス英和大辞典購入(2020年8月12日)

メルカリでLogoVista版ジーニアス英和大辞典が売っていたので、ポチリました。Windows10対応で9,200円。楽天ブックスでEPWING版17,600円、アマゾンではLogoVista版13,095円。本と違ってCD-ROMは劣化しませんから9,200円はお得です。しかも、私の場合8,410円分のdポイントを支払いに充てたので、体感的な持ち出しはわずか790円。dカードすら持っていないのに、ひょんなことからまとまったdポイントを手に入れ、使い道を思案していたところだったので、納得のいく使い道となりました。

LogoVistaは、会員になると同社の電子辞典がお得に購入できるので、会員になるメリットは大きいのですが、とりあえず何か商品購入する必要があります(多分)。今回790円で会員になれたのも、極めて高い投資対効果になるはずです。

EBWin4で開く(結果NG)

メルカリで購入したジーニアス英和大辞典はLogoVista版なので、LogoVista辞典ブラウザで閲覧するのが普通です。が、多くの翻訳者の方は、敢えてEPWING用の汎用辞書ブラウザであるLogophileやEBWinを使っているようです。しかし、ここ数年はLogoVista社のセキュリティ強化により、LogoVistaのCD-ROMが汎用辞書ブラウザで開けないケースが多いようです。

2020年の今ではEPWINGを絶滅危惧種と呼ぶ人もいるくらいで、翻訳を勉強中である身としては現状を受け入れ、LogoVistaのデータはLogoVistaの純正ブラウザで使おうと思ってます。とはいえ、試しにEBWinでジーニアス英和大辞典のデータにアクセスしてみました。EBWinのホームページにLogoVistaの辞書データを取り込むには「辞書名.idx」を開くよう指示がありましたので、探し出してアクセスしたら、エラーなく開けました。ただし、実際に単語を検索すると返される結果は、ヘッダー部分(語源とか語義)だけでコンテンツのほとんどの部分は表示されないので、全く使いものになりません。

無料オンライン辞書

辞書環境構築に無料のオンライン辞書を加えることも検討に値します。「最初に買う辞書・使う辞書」でも出典が確かな限り良しとしていました。コトバンクやgoo辞書は使えそうです。ただ、全文が掲載されていない場合があるらしく、そこは注意すべきとのことでした。

一方、無料オンライン辞書の代表格である英辞郎は、出典が不明で編集者も誰だかわからないので非推奨とのこと。Weblioも出典が明示してある限り使って良しとのことでした。これは、翻訳者は翻訳文に対して責任があるので、使うツールも責任の所在が明確なものを使うべきということで、必ずしも英辞郎やWeblioの訳が不正確であると言っているのではありません。

コトバンク

英和・和英、国語辞典系では以下が収録されています。

  • プログレッシブ英和中辞典(第4版)(小学館)
  • プログレッシブ和英中辞典(第3版)(小学館)
  • 精選版 日本国語大辞典(小学館)
  • デジタル大辞泉(小学館)
  • デジタル大辞泉プラス(小学館)

あの国語大辞典があります。精選版ですが、それでも30万語収録されています。コトバンクは上記の辞典以外では百科事典なども引けます。それと業界用語が充実しています。

goo辞書

  • プログレッシブ英和中辞典(第5版)(小学館)
  • プログレッシブ和英中辞典(第4版)(小学館)
  • デジタル大辞泉(小学館)
  • 使い方の分かる 類語例解辞典(小学館)

コトバンクとのかぶりが多いですが、英和・和英は版が新しいですね。小学館は太っ腹ですね。

Oxford, Longman, Collins, Cambridge, Merriam-Webster

英英辞典の環境については、英米の出版社が英語学習者向けに提供している無料オンライン辞書を使えば十分だそうです。5社も選択肢があるのは嬉しいですね。個人的にはOxfordをずっと使ってました。翻訳にいそしむのであれば、これからは一つの単語を調べるのにOxford以外もチェックして比較しないと。大変だぁ。

新編英和活用大辞典購入(2020年9月15日)

LogoVistaのサイトで、研究社の英和活用大辞典を購入しました。MRIの通信講座Step1で英日より日英の方が調子がいいので、Step2では日英を先に頑張っちゃおうかなぁと思っての購入です。基本はコロケーション辞典のようです。

買うタイミングは意識していませんでしたが、たまたまキャンペーン中でポイントが15%もつきました。そういえば、LogoVistaはよくキャンペーンをやると聞いてました。考えてもみれば、9月は3月決算会社にとっては中間決算期。LogoVistaが3月決算の会社であれば、次ぎのねらい目は3月でしょうか。

2020年9月15日時点での辞書環境 on PC

ということで、2020年8月8日現在の私の辞書環境です。変化があったら更新します。

英和大辞典

  • 新英和大辞典(研究社)・・・KOD
  • リーダーズ英和辞典+プラス(研究社)・・・KOD
  • ジーニアス英和大辞典(大修館)・・・LogoVista
  • 新編英和活用大辞典(研究社)・・・LogoVista

ランダムハウス英和大辞典をPCで使うおうとするとジャパンナレッジに入会する必要があり、そのためだけに年間15,000円は払えない。とりあえずDAYFILERには入っているのでそれでよしとする。

英和中辞典

  • 新英和中辞典(研究社)・・・KOD
  • ルミナス英和辞典(研究社)・・・KOD
  • プログレッシブ英和中辞典(小学館)・・・goo辞書/コトバンク

無料のgoo辞書/コトバンクも入れて3種類だが、もうひと声行きたい。三省堂のウィズダムに興味あり。

和英大辞典

  • 新和英大辞典(研究社)・・・KOD

そもそも和英の大辞典はこれしかないので完了。

和英中辞典

  • 新和英中辞典(研究社)・・・KOD
  • ルミナス和英辞典(研究社)・・・KOD
  • プログレッシブ和英中辞典(小学館)・・・goo辞書/コトバンク

無料のgoo辞書/コトバンクも入れて3種類。和英中辞典はこれで打ち止めでいいかな。

国語中辞典

  • スーパー大辞林(三省堂)・・・KOD
  • デジタル大辞泉(小学館)・・・goo辞書/コトバンク
  • デジタル大辞泉プラス(小学館)・・・コトバンク

研究社と三省堂とのコラボでKODでも大辞林が使えるが、三省堂のサービスは9月末で終了。以前から書籍の広辞苑は持っているが、PCで使える中辞典入手は課題。現実的にはLogoVistaになりそう。

国語小辞典

我が家には岩波国語辞典はあるが、PCで使える小辞典入手は課題。中辞典同様LogoVistaが候補。LogoVistaなら岩波国語辞典、新明解国語辞典(三省堂)、明鏡国語辞典(大修館)が揃う。ただし、書籍版岩波国語辞典の第8版が既発なのに対しLogoVistaは第7版。LogoVistaの新明解国語辞典は第7版だが、2020年11月19日に第8版が販売されるとの発表があった。よって明鏡以外は手が出しにくい。新明解については第8版がLogoVistaで出るまで、Dongriで繋ぐという手もある。

番外:PC以外の媒体

  • DAYFILER DF-X8000(セイコーインスツル) ・・・電子辞書
  • 広辞苑(岩波書店)・・・書籍
  • 岩波国語辞典(岩波書店)・・・書籍
  • ロングマン現代英英辞典(桐原書店)・・・書籍

以上、オンライン英英辞典は省略。今後も適宜更新していきます。

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