「英文翻訳術」読みました

翻訳学習の一環として「英文翻訳術」を読んでみました。ざっと読んだ、という但し書きがつきますが。

英文翻訳術表紙

著者は安西徹雄さん。2008年にお亡くなりになっていますが、上智大学の名誉教授で英文学が専門だったかたです。初版は1995年ですが、その後版を重ね私が購入したのは2018年第28刷。アマゾンのデータではちくま学芸文庫の売れ筋ランキング第9位。ロングセラーなのです。

この本は私にとって初めて読む、翻訳の具体的技術・ノウハウが詰まった本でした。翻訳練習問題も結構掲載されています。英日翻訳の課題はMRI語学教育センターの通信講座フェローアカデミーのBETAで取り組んでいるので、この書籍にあたる際は、とりあえず全てスキップしました。どんなノウハウがあるのか、まずは把握したかったからです(冒頭”ざっと”と表現したのはそのため)。

購入したきっかけですが、フェローアカデミーのBETAに取り組んだ経験がある人のブログを読んだとき、その人が「BETAをやる前にこの本を読んでいれば良かった。この本に詳しく解説されていることが、BETAではさらっとしか説明されていない」というような趣旨の書き込みをしていたためです。

確かにBETAは動詞の訳し方に主眼がおかれています。一方、本書では例えば以下のようなテーマを扱っており、カバー範囲は広いです。

  • 語順の問題そのほか
  • 所有格を考える
  • 無生物主語
  • 関係代名詞をどうするか
  • 述語的に訳す場合
  • 副詞に訳したほうがよい形容詞
  • 比較の表現
  • 時制について
  • 受動態をどう処理するか
  • 仮定法の問題
  • 直接話法を生かす
  • 強調構文

見てわかるとおり、かなり網羅的・体系的です。それもそのはずで、安西 徹雄さん がこの本を執筆したきっかけは、翻訳の技術を体系化しようとしたためです。本書のあとがきでこう言っています。

それまでは、<翻訳の心得>のようなものを徒弟制度的に説いたものはあったけれど、英文から訳文に至るまでの間に、一体どんな作業が行われているかということについて、具体的な方法の形にして教えてくれる本はなかった。演劇の基礎訓練にそれなりのメソッドがあり、美術学校にはデッサンの勉強があるように、翻訳にも基礎的な記述を学ぶための、いわば地図の役割を果たすノウハウがあってもよいわけで、それを何とかシステムとして提示できないかと思って始めたのがこの仕事なのです。

翻訳ノウハウ本の元祖なのですね。元祖はやはり強いです。ロングセラーなのもうなづけます。まずはどんなことが書いてあるかを知りたかったので、練習問題はスキップしてしまいましたが、MRIの通信講座やBETAの目途がたったら、この本の問題もやってみたいと思います。

関連リンク

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