楽天やAmazonで本を眺めていると、おのずと同じ分野の本が目に入ります。その流れで購入した「<英文法>を考える」という本を読みました。筆者は東京大学名誉教授の池上嘉彦さん。日本人でありながらLongman Dictionary of Contemporary English (LDOCE)の編集に校閲者として参与した方です。恐るべし。

タイトルとは裏腹に本書は普通の英文法の本ではないです。一般の英文法では扱わないような微妙な意味の差異を解説する、言ってみれば超英文法の本です。
例えば一般的に意味は同じと解説されている以下のそれぞれの文。
- John showed Mary a photo.
- John showed a photo to Mary.
- She told him to leave.
- She told him that he should leave.
- The forecast says that it’s going to rain.
- The forecast says it’s going to rain.
これらの文の違いが説明されているのです。もう少し言うと、意味の違いというより、どういう場面の時どちらの用法がより適切であるかの解説です。
英語の研究者ではなく学習者の立場からは、ちょっとマニアック過ぎるように見えます。3つ目なんてthatがあるか無いかの違いです。場面により使い分けるのが適切なんて衝撃的ですらあります。
でも筆者の解説を読めば不思議と納得できるのです。恐らくNativeはこういったことも無意識に使い分けているのでしょう。
本書の前半はこの類の解説が中心で、非常に刺激的でした。後半はその傾向が影を潜め、英語との対比という意味で日本語の解説が多くなっていました。
そして本編後の付録に、辞書(多分LDOCE)に掲載されている例文の見直し作業に際して差し替えた文章の比較とその解説があり、それがまた興味深かったです。例えば、複数・単数の使い分け、冠詞の使い分け、所有格・不定冠詞の使い分け、前置詞の使い分けなど、日本人が苦手とするものを多く含んでいました。
より深く英語を学びたいという人にはお薦めの本です。
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50歳代後半の男性会社員です。一時実務翻訳の勉強をしいて、仕事を貰えるレベルにはなりましたが気が変わり方向転換。ブログのテーマも実務翻訳から英語学習全般に変更の方向です。詳しい自己紹介はこちら。
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