「語学で身を立てる」読みました

最近、あらためて英語関連の書籍をAmazonで眺めているのですが、定年に向け翻訳で収入を得ようと考えている自分にとって気になった「語学で身を立てる」という本を購入しました。著者は猪浦道夫さん。東京外語大学イタリア語学科を卒業した方です。

語学で身を立てる表紙

ちなみに購入したのは楽天ブックス。私の場合、Amazonで探して楽天で買うパターンです。ポイント狙いですね。こういうパターンの人多いと思います。

タイトルどおり、語学で収入を得ていくためのガイド本です。担当記者の取材をもとにしたムックと違い、語学のスペシャリストとしての筆者の体験や考えがもとになっています。あえてガイド本と言ったのは、新書版200ページほどの分量なので、各分野について詳細に説明しているわけではなく概要の説明に止め、興味が出た分野は読者自身がさらに深く研究するよう促すスタイルに思えたからです。

語学で身を立てることを前提に紹介されている分野は、翻訳系・通訳系・語学教師系の3つです。ピュアに語学職というと、やはりこの3つですよね。一般企業の国際関係や貿易関係の仕事に就くことを「語学で身を立てる」と呼ぶのは違和感ありますし。それは仕事をしていく上で、外国語がたまたま必要だったとも言えます。雇う方も仕事の成果に対して給料を払うのであって、語学力に対してではありません。

ちなみに筆者は英語はもちろん、ヨーロッパの言語を含め7か国語を教えているという恐るべき人です。ですので本書も英語以外の外国語についての話が多いです。

印象に残った箇所

ここからは本書を読んで印象に残った下りを紹介します。

あくまでビジネスであるということを忘れず、常に現代の社会の動きに関心をもち、パソコンなどが操れる人ならば、基本的には、翻訳会社にとってこれほど頼りになるスタッフはいません。

69ページ

「現状分析~いまなにをすべきか」という章で、高校生、大学生、帰国子女、OL、主婦、壮年・熟年世代の6つの属性の人へのアドバイスがされています。上記は壮年・熟年世代向けのもので、翻訳業務を前提の話です。ポジティブなメッセージなので励みになりますね。このくだりの少し前では、道楽半分にはやるなと釘もさしていますが。

双方の国の人々にとって常識的なことは知った上で臨まないと、よい仕事はできません。(中略)こうした常識を培う一つの効果的な方法は、新聞、雑誌などの他に、学習している言語の国の小学生が使っている教科書、参考書のようなものを読んでみることです。特に、社会と理科の本はおもしろいうえ、よく役立ちます。

84-85ページ

「常識的なこと」については私も常々思っていました。英語圏で学校教育を受けたことがないので、英語圏の人が小学生の頃に誰でも習うようなトピックにはついていけないと。日本人であれば誰でも桃太郎を話題に会話が出来ますが、日本語を学習中の外国人には厳しいでしょう。

そういうGAPを少しでも埋めるため、現地の小学生が使っている教科書を入手するという発想には、なるほどと思いました。

最後に

私はすでに翻訳にチャレンジと決めているので、この本の通訳と語学教師の部分は、あまり参考になりませんでした。 一方、得意の語学で収入を得たいけど具体的な職種は未だ決めていないという人には、翻訳・通訳・語学教師の概要を把握するには良いのではないでしょうか。この本で大体の方向性を決め、その後それぞれの分野を深く研究するという使い方がいいと思います。

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